消えちゃいそうな背中

スポーツドリンクをよく飲んでいて、カロリーメイトのフルーツ味が好きだという彼女。

いつもマスクをしていて、帽子を目深に被っている。

メガネもかけているから、表情がほとんど分からない。

素顔をなるべく覆い隠そうとしているように見える。

 

目で見て取れる情報はこれだけ限られているというのに、砂漠のように乾き切った心が見え隠れしていて、なんとなく伝わってくる。

 

食に対する執着がほとんどない彼女と、初めて休憩が被った。

あまりお腹が減ってなさそうだったけれど、私がお弁当を買いに行くと言うと、ついてきた。

 

道中、目の前を歩いてる背中があまりにもか弱くて、急に心配になった。

ある日、突然消えてしまいそうな気がしたから。

風が吹いたら飛んでいってしまいそうだと思った。

 

温度感が伝わってこない。

無機質でひんやりとした、寂しさの中にポツンといるような気がした。

 

できることなら、抱きしめたいと思った。

ハートの底からぽかぽかしてほしい。

大丈夫だよって伝えたい。

 

温もりが必要だと直感的に思った。

誰かの愛情がたっぷりこもっているあたたかいご飯、あたたかいお風呂、あたたかい布団。

ハートの温もりが必要だ。

 

生命力に富んだ、温もりを帯びる日が来てほしいと本気で思ってる。

知り合い程度の私にも出来ることを一つ一つ積み重ねていこう。